規制緩和と小売業の変化

小売業は市場のニーズをいち早く反映して変化する業態です。それは戦前から続く百貨店のような老舗業態での変化も絶え間なく続き、全く新しい業態も誕生します。昭和20~30年代は月賦百貨店という業態が一世を風靡し、昭和30~40年代ではスーパーマーケットがこれまで日本になかった業態として突如登場し、急成長を遂げました。

平成になってからは、さらに規制緩和政策が推進されたことから、従来にはなかったスピードで変化が起こりました。それが集約されているのがコンビニエンスストア(コンビニ)です。コンビニの歴史は意外に浅く、昭和44年に「マイショップ」が大阪豊中市に開店したのが日本でのコンビニ1号店といわれています。現在最大手の「セブンイレブン」の設立は昭和48年のことで、東京江東区に第1号店を出店しています。現在業界全体の店舗数は55,000店舗に達し、売上高は7兆円を突破する巨大産業として、消費生活になくてはならない存在となっています。

コンビニはその最初の頃から、店舗陳列販売のみではなく、いわゆるサービス商品の販売mの積極的に行っていました。例えばDPEやコピー、宅配便の取扱いのことですが、これらの件数や規模はそれほど大きなものではなく、物販に対しサブ的なイメージしかありませんでした。ところが昭和62年にセブンイレブンが東京電力の料金収納代行を扱うようになったのをきっかけに飛躍的に拡大します。ATMの導入は平成元年のサークルKが最初です。

コンビニがこれほどまでに拡大できたのは、POSシステムを導入することによる、在庫リスクの少ない小売業の形態が可能になったことが、一つの理由として挙げられます。POSは公衆電気通信法の改正がなければできなかったことであり、酒類、米、医薬品の販売もそれぞれ規制緩和の結果です。銀行ATMの設置も同様といえます。

しかし最近では、eビジネスの拠点としての機能も持ち始めています。eビジネスの越えられない弱点であるデリバリー問題をコンビニを拠点とすることで可能とする取組みです。さらにそれは発展して、小口決済が主流のコンビニにおいて、電子マネーの取組みも拡がっていきました。