昭和の初期は金融恐慌から始まる不況の時代です。この不況・不景気の打開策として、月賦販売の活用が積極的に取り上げられるようになり、「月賦黄金時代」といわれる時代を迎えることになります。月賦で取り扱われる商品はより広範囲となり、この時期、自動車、自転車、電気器具、医療器具などの月賦販売の金融会社が設立されています。
しかも、この黄金期も昭和12年の日華事変、16年の太平洋戦争勃発により、縮小の方向に向かうことになります。戦時の経済統制により、物資、物価、賃金等が全て規制され、月賦の母体である小売業が壊滅的な打撃を被ることになったからです。戦争の激化とともに月賦を取り扱う店は減少し、月賦を提供していた外資のメーカーも日本から相次いで撤退していきました。
昭和期のクレジットは「黄金期」から一転して、「暗黒期」を迎えてしまったわけです。
【月賦黄金時代】
昭和初期、経済不況の打開策として、月賦の利用による個人消費の喚起が取り上げられるようになり、月賦の利用が増大した。昭和9年に東京市が行った実態調査では、調査対象999社の小売業者のうち、昭和に入ってから月賦販売を始めた業者が56.6%に上っている。月賦販売額の商品別の割合の高いものとして、ミシン、自動車、ピアノ・オルガン、ラジオ、自転車などが挙げられている。