様々な金融業が活躍する中世

武士が台頭する鎌倉・室町という中世の時代になると、地方にまで貨幣経済が発展し、「借上(かしあげ)」「土倉(どそう)」「酒屋(さかや)」という貸金業者が出現します。これらは地域の富裕層が貸主となって、永楽銭(永楽通宝)などの金銭の貸借をしたものです。また一方で「頼母子講(たのもしこう)」という庶民の相互扶助金融が各地域に登場しました。

「頼母子講」は民間の人々が寄り合って金子を出し合って「講」という組織を作り、講の中の困窮者に融資をして救済したのが始まりです。庶民の為のいわゆる相互扶助機関ですが、後に投資家などへの融資機能も併せ持つようになりました。江戸時代後期まで、ある意味での地方金融機関として活躍します。

[頼母子講]室町時代に登場した庶民の相互扶助機関。「親」と称する発起人と「子」である講の構成員からなる。「子」は一口いくらの金銭を何口か「親」に投資し、「親」はその資金を基に。講の名のもとに融資する仕組み。